ビジュアル1のお話

 本公演のメインビジュアルは、水彩画家・鵜木政幸さんの画。鵜木さんの作品との出会いは、2021年秋、下関、北九州両市を中心に創作活動を行う作家の作品展『展days』でした。

 彫刻や絵画、写真など多彩な展示作品を見ていく中で、ある画を見た瞬間に惹きつけられました。画の前で足が止まり、遠くから近くからと、長い時間じっと見つめていたのを覚えています。ふと、作者のプロフィールが目に入り、その画が『展days』主催者である鵜木政幸さんの作品であることを知りました。このとき確か私は「この画がとってもとっても好きです」みたいなことを言っていたような気がします。

*『展days』で鵜木さんの作品と 

 以来ずっと、鵜木さんの描く自然で、どこか温かく人を見つめている画に心惹かれていました。

 本公演メインビジュアルのイメージが定まらずに悩み続けていた時、何度も原作を読んでいくうちに、ふと、鵜木さんの画が思い浮かびました。鵜木さんが描かれる画をメインビジュアルにできたら……。けれども、畏れ多く、なかなか言葉に出せずにいました。

 かといって、他にこれだと思える写真も絵も思い描けず、日にちだけが過ぎていきます――。ある日、主催者でもある娘の千花に「実は、ビジュアルを鵜木さんに描いて欲しいとずっと思ってて――」と、こぼしてみると、間髪入れずに「なんでそれを早く言わないの! お願いしてみようよ!!」と返ってきました。千花は、その場ですぐに鵜木さんへご連絡をしたのです。小さい声でこっそり言ったのに、思わぬ展開にびっくりです。

 それから、お会いし、具体的なお話をして、引き受けていただける事になった時には、驚きと喜びとで胸がいっぱいでした。それだけでも奇跡のような出来事なのに、とても細やかにご対応いただき、本公演の為に新たに描かれた作品は、ラフスケッチの段階から公開許可をいただきました。ご協力と大きなご支援に感謝の想いを持って、順次公開してまいります。

 特設サイト公開時からのビジュアル1の移り変わり

 鵜木さんとのお仕事は、驚きと感動の毎日です。サイト公開後も、日々、細やかに修正してご提案くださるなど、小さなやりとりからも学ぶことがたくさんあります。作品はもちろん、仕事としての作品との向き合い方も心から尊敬できるアーティストの方とご一緒させていただき、身が引き締まる思いです。

 この4枚はメインビジュアル制作前のラフイメージ。鵜木さんからのご提案で、ビジュアルにも序章がつきました。

『ビジュアル1は、次郎と塩子です。すでに生活している土地へ言わば異邦人である他の人たちがやって来るわけですが、このビジュアル1はホームページのみ先行して使い、劇の進行とリンクさせ、序章のつもりで描きました。ホームページを開くともうすでに劇は始まっているというわけです。』

 なんて素敵な心躍るご提案! そう、すでに「イエスタデイ」の物語は始まっているのです。ここから更に、メインビジュアルへと物語が進んでいく模様も、特設サイトでお楽しみいただければと思います。

(制作 江原)

PAGE TOP inserted by FC2 system